故郷。
私には故郷と呼べる場所はないと思っていた。
東京生まれの東京育ち。
大人になってから千葉へ移り住んだものの、
日帰り圏内だし、勤務先も東京だったから
やっぱり故郷はないと思っていた。
夏休みやお正月に帰省する人たちを、
その人たちの高揚しているような、ほっとしているような顔を見て
ステキだなって羨ましく感じることもあった。
毎日慌ただしく過ごしていても、帰る場所がある。
一息つける場所がある。
もし人生に行き詰っても、戻る場所がある。
美しい自然が迎えてくれる。
故郷があるって、そんなイメージだった。
しかしそんな私は突如、西日本へ転居することになった。
美しい山に囲まれた、「故郷」のイメージそのものの場所へ。
故郷、みたいだなあ。
でも私は新参者だからここは故郷ではないんだよな。
知り合いも誰もいないし。
そう思いながら暮らして2年。
お休みを取り、実家があり家族や友達のいる東京へ。
新幹線で東京に降り立ち、自然に口をついて出たのは
「ああ、帰ってきた。」
だった。
あ、故郷なんだ、ここが。
そうか私にとっては人で溢れた、ビルで埋まった、
この東京こそが故郷なんだ。
すごい勢いで人々が歩き、話し、
空気がもわっとしていて、頑張らないと電車に乗れない都市。
美しい山に囲まれていたり、
きれいな川が流れていたりはしないけれど。
それでも心からほっとしている自分がいた。
故郷って、こういうことだったんだ。
離れていて、簡単には帰れなくて、でも帰ったら素の自分に戻れて。
大切な人がいて。大切な場所があって。
何かを失わないとできなかったんですね、故郷って。
故郷のことを話しているときの友達の
遠くを見ているような目を思い出す。
私も東京のことを話しているときあんな目をしているのかな。
東京出身者の半数が、自分には故郷がないと感じているという。
みなさーん、ありますよ、故郷!
そのうち、東京が故郷だなって感じる日が来るかもしれませんよ。
だから、一緒に大切にしていきたいですね、私たちの故郷、東京を。
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